回盲部腫瘤で発見された新生児虫垂炎の1 例
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概要
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腹部腫瘤で発見された,新生児期発症の虫垂炎の1 例を経験した.症例は日齢22 の男児.発熱と嘔吐,腹部の膨隆にて発症.感染性腸炎の診断にて抗生物質を投与されたが,症状は軽快せず.腹部骨盤CT 検査にて腸管拡張および回盲部に腫瘤像を認めた.重複腸管による腸閉塞を疑い,日齢36,開腹手術を施行した.腹腔内を検索すると,回盲部周囲に膿瘍を認めた.穿孔性虫垂炎を疑い虫垂を検索するも,虫垂は溶解し確認できなかった.虫垂根部と思われる部位の盲腸壁を縫合し,ドレーンを挿入し閉腹した.術後経過は良好で術後14 日目に退院した.新生児に虫垂炎が発症することは極めて稀である.本邦では,われわれの報告も含め41 例の報告があるにすぎない.新生児では,虫垂炎に典型的な所見,検査成績を示さず,術前診断はきわめて困難であるが,新生児期にも虫垂炎が起こりうることを留意し,期を逃すことなく外科的治療に踏み切る必要があると思われた.
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本小児外科学会 | 論文
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