先天性C 型食道閉鎖症術後の気管食道瘻再発に対する治療経験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【目的】C 型食道閉鎖症根治術後の気管食道瘻(TEF)再発は重篤な合併症であり,再発を繰り返し治療に難渋する事も多い.今回われわれは最近経験したTEF 再発例の術式・成績などについて検討した.【方法】2001 年~2011 年に当科で根治術を施行したC 型食道閉鎖症34 例のうちTEF が再発した4 例と他院で根治術を施行した後に再発を繰り返し紹介された2 例の6 例を対象とし,診療録を元に後方視的に検討した.【結果】TEF 再発に対する手術時年齢は4 か月から5 歳4 か月であった.これら6 例に対して食道と気管閉鎖部の間に生体組織を介在物として用いたTEF 閉鎖術を行った.間置した生体組織は有茎胸膜2 例,有茎心膜2 例,遊離心膜1 例,有茎大網1 例,遊離大腿筋膜と耳介軟骨1 例(重複あり)であった.複数回の手術にかかわらず再発を繰り返し,食道気管肺皮膚瘻となっていた症例に対しては側方開胸が困難で,胸骨正中切開+右前側方切開にてアプローチし,介在物として有茎大網を用いた.開心術後で心膜の癒着があり,TEF の位置が高かった症例では,2 回目の再発時に小さい遊離心膜グラフト形成を余儀なくされ,結果的に3 回目のTEF 再発を認めた.この症例では瘻孔処理の際に気管側の膜様部欠損に対して,耳介軟骨を用いて修復し,介在物に遊離大腿筋膜を用いた.現在,術後1 年~9 年(平均4 年)経過し全例再発は認めていない.【結論】TEF 再発例では良好な視野のもと,手術歴,炎症の程度によって瘻孔閉鎖の際に,それぞれの術式の欠点利点を良く理解した上で,最良の生体組織をできるだけ広範囲に間置することが望ましいと考えられた.
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本小児外科学会 | 論文
- 恥骨上部皮下low-grade fibromyxoid sarcoma の1例
- 腹部造影CT検査で術前診断し,憩室切除を施行した小児上行結腸憩室炎の1例
- 総肝管原発capillary hemangioma により閉塞性黄疸を呈した1 幼児例
- 出生後に緊急手術を要した巨大な先天性線維肉腫の1例
- 小児進行副腎皮質癌の1例