先天性空腸狭窄症の臨床像に関する検討
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概要
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【目的】先天性空腸狭窄症は比較的稀な疾患で腸閉鎖・狭窄症の約5%をしめる.集計報告はみられず自験例および報告例を集計しその臨床像を明らかにする.【対象と方法】診療録をもとに自験例4 例の周産期情報,臨床経過を集計した.また自験例と報告例16 例の新生児期症状,診断時年齢,初発症状,狭窄部位,狭窄様式,診断方法,治療法を集計した.【結果】自験例4 例の結果:1 例の出生前超音波検査で腸管拡張を認めたが,それ以外の周産期異常はなかった.診断時年齢は,月齢0 ~月齢7 で,新生児期に診断された症例は1 例のみであった.診断時体重は2,794 g(-2.8 SD),6,685 g(-1.5 SD),2,970 g(-3.6 SD),5,868 g(-2.1 SD)であった.全例で嘔吐と体重増加不良を認めた.上部消化管造影で診断がなされ全例で手術が行われた.1 例では術後狭窄に対してバルーン拡張が行われた.報告例を含めた20 例の結果:記載のある全例が上部空腸の狭窄であり,大半が膜様狭窄であった.新生児期より嘔吐を認めた10 例中3 例のみが新生児期に診断された.11 例は乳幼児期に嘔吐・腹部膨満・体重増加不良を契機に精査が行われ診断に至っていた.上部消化管造影は13 例に行われ,このうち2 例は十二指腸造影も行われた.1 例は,シネMR 撮像法で診断されていた.治療は1 例で内視鏡的治療が施行された.記載のある13 例で手術が施行され重篤な合併症の報告はなかった.【結論】空腸狭窄は先天異常であるが新生児期に診断される症例は少ない.乳児期に繰り返す嘔吐や体重増加不良を認めた場合は,本症も念頭に置き上部消化管造影や十二指腸造影検査を行う必要がある.
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本小児外科学会 | 論文
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