ニジマス耳石の構造と結晶多形
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概要
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魚類の耳石はタンパク質の有機基質を含む炭酸カルシウムの多結晶体である.耳石の結晶多形は個体の生息環境等により異なることがある.今回,アラゴナイトとヴァテライトの扁平石(耳石の一種)について結晶粒の形状やサイズ,結晶方位の比較を行った. 養殖ニジマスから扁平石を取り出し,中央の裂溝に沿って垂直に切断した.この断面から数μm間隔で電子後方散乱回折(EBSD)パターンを取り,結晶粒と結晶方位の分布を調べた. その結果,アラゴナイトの偏平石では,断面の法線に近い方向にアラゴナイトのc軸が偏り,また<110>が偏平石の厚み方向を向いていた.またヴァテライトの偏平石では,扁平石の厚み方向に伸長した結晶粒が卓越し,方位解析の結果,これはc軸を法線方向とする板状結晶の断面であることが示唆された.このようなヴァテライト扁平石における結晶形態の特徴は合成ヴァテライトで見られる特徴と一致していた.
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