髄様癌と乳頭癌を同時性に認めた甲状腺癌の1手術例
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概要
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甲状腺左葉に髄様癌,両葉に乳頭癌を同時性に認めた症例を経験したので報告する。症例は73歳女性。2012年3月左側頸部腫瘤を主訴に前医を受診し,CEA,カルシトニン高値,穿刺吸引細胞診で髄様癌が疑われたため精査加療目的に当院を紹介受診した。当院で穿刺吸引細胞診を追加し,最終的に髄様癌と乳頭癌の併発と診断された。RET遺伝学的検査では変異は認めず,髄様癌は散発性と診断した。甲状腺亜全摘術を行い,中央区域,両側外側区域リンパ節を郭清した。左葉の腫瘤は免疫染色上カルシトニン,CEA陽性を示す髄様癌で,両葉に微小乳頭癌を併発していた。リンパ節には髄様癌,乳頭癌それぞれの転移を認めた。髄様癌と乳頭癌は発生学的に起源が異なるため,同一患者に同時性に両者を認めることが知られているが,ここではその発生機序の考察も含め報告する。
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Japan Association of Endocrine Surgeons・Japanese Society of Thyroid Surgery | 論文
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