がん終末期医療の対応に苦慮した若年甲状腺乳頭癌患者の1例
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概要
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症例は,甲状腺乳頭癌の38歳,女性。甲状腺癌(T4aN0M1,stageⅡ)の診断で,34歳7カ月時点に甲状腺全摘,気管合併切除(気管輪1-5,端々吻合),中心領域郭清術が施行された。術後,多発肺転移に対し内照射療法を計4回施行しているが,肺転移巣は徐々に増多,増大した。38歳4カ月時点で軽い上気道炎を契機に呼吸苦が出現した。入院の上全身管理を行ったが呼吸不全のため永眠された。甲状腺乳頭癌は,非常に予後が良いことで知られ,特に若年で発症した場合は更に高い治癒率のため本疾患で亡くなることは稀有である。また,本疾患は腫瘍増殖速度が非常に緩徐である,疾患特異的治療として内照射療法が有効である,などの他の悪性腫瘍とは異なる特徴がある。これら本来治療する上で利点と言える特性は,がん終末期においては反対にその対策を困難にする。今回,生命予後が予測できず対応に苦慮した症例を経験したので報告した。
- Japan Association of Endocrine Surgeons・Japanese Society of Thyroid Surgeryの論文
Japan Association of Endocrine Surgeons・Japanese Society of Thyroid Surgery | 論文
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