亜急性甲状腺炎の経過中に発見された甲状腺乳頭癌の1例
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概要
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症例は54歳,女性。前頸部腫大と疼痛のため甲状腺疾患の疑いで当院に紹介となった。局所所見では甲状腺右葉の腫大と圧痛を認めた。超音波検査は甲状腺右葉が軽度腫大しており,右葉中下部全体に低エコー域を認めた。血液検査ではCRPは0.51mg/ dℓ(基準値0.3以下)とやや高値を示したが,甲状腺ホルモン濃度は基準値内にあり抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ぺルオキシダーゼ抗体も基準値内であった。以上の所見より亜急性甲状腺炎と診断し経過観察とした。初診時から4カ月が経過した時点で超音波検査を実施した際に甲状腺右葉中下部に微小な高輝点が点在する9.1×7.6×6.9mm大の辺縁不整な低エコー域を発見した。同部位に対する細胞診で甲状腺乳頭癌が判明し手術を施行した。以上のように亜急性甲状腺炎においては結節性病変,特に悪性疾患の合併の見落としを防ぐためにも,超音波検査による経時的な経過観察は必要であると考えられた。
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Japan Association of Endocrine Surgeons・Japanese Society of Thyroid Surgery | 論文
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