他臓器浸潤を伴う副腎腫瘍
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概要
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【はじめに】他臓器浸潤を伴う副腎腫瘍は内分泌外科においては最もchallengingな外科治療の対象の一つである。最も慎重な対応が必要なものはIVC浸潤を疑う症例である。浸潤の評価方法,術中のIVCに対する処理の方法など検討項目は多岐にわたる。【対象と方法】1998年から2011年の間に行った副腎(副腎原発ではないが,副腎腫瘍と鑑別が困難であった症例も含む)に対する初回手術422例中,術前画像検査で他臓器浸潤を疑われた20例を対象に診断結果,術式,予後などを検討した。【結果】病理診断の結果は褐色細胞腫(傍神経節腫を含む):7,皮質癌:3,平滑筋肉腫:3,脂肪肉腫:2,その他:4であった。右10例,左10例。IVC浸潤診断に対して血管内超音波(IVUS)とCT/MRIの感度はともに100%であったが,特異度は後者が明らかに低かった。合併切除臓器(重複有り)は右では肝:4,IVC:3,右腎:1,左では左腎:4,膵脾:2,脾のみ:1。予後:褐色細胞腫は1例以外無再発,肉腫は1例が術後早期に現病死。皮質癌は2例が遠隔再発。【考察および結語】治癒切除可能であった症例では比較的良好な予後が得られており,周囲臓器の合併切除を含めた積極的な治療方針が重要と考えられた。浸潤が疑われる場合,バイパスなどの準備や血管外科医・消化器外科医との連携など,周到に準備を整えておくことが,手術を安全に行う観点から重要と考えられた。
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