HIV感染症患者における適応障害について:―国立国際医療研究センター病院における精神科リエゾンから―
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概要
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国立国際医療研究センター病院において,2007年4月1日〜2009年3月31日の2年間にエイズ治療・研究開発センター(ACC;AIDS Clinical Center)から精神科へコンサルテーションがされたHIV感染症患者86例(入院31例,外来55例)について実態調査を行った。精神科初診時の診断は,適応障害が24例(27.9%)と最多であった。さらに,この24例のなかで「受診に至った直接のストレス因」として感染告知など"HIV感染症と関連の大きいもの"をあげたのは9例,仕事や家庭,恋愛など"HIV感染症と関連の少ないもの"をあげたのは15例と,6割以上がHIV感染症以外の要因をあげた。「告知から精神科を受診するまでの期間」が比較的長いことも,これを支持しているものと考えられた。HIV感染という疾患自体に抱く不安やストレス以外にも,このような外的要因が存在することを念頭に置き,それぞれの状況に合わせてケースワークをしていくことが重要であると考えられた。
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一般社団法人 日本総合病院精神医学会 | 論文
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