手術前の精神科介入は術後せん妄の発症予防になりうるか
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
せん妄は総合病院においてしばしば認められており，身体疾患の併発や死亡率の増加をもたらしている。今回われわれは，当院での食道癌の手術前に精神科が介入することでせん妄の発症や経過についてどのような変化がもたらされるかを検討し，せん妄の予測と予防に関する最近の知見を呈示するとともに報告した。われわれの手術前の介入により，術後のせん妄発症率や発症したせん妄に対する薬物療法を必要とした症例数は，ともに減少傾向はみられたものの有意差は得られなかった。 その理由として，今回の研究ではせん妄の危険性の情報提供にとどまり，非薬物療法的アプローチに関する具体的な指導が十分でなかったことにより，医療スタッフ間で患者への対応の相違があったことが予測された。今後は教育的介入をより強化し，医療スタッフの患者への対応の標準化を行っていくことがせん妄発症や重症化の予防に寄与する可能性があると考えられた。
- 一般社団法人 日本総合病院精神医学会の論文
著者
関連論文
- 臨床報告 幻覚妄想状態を呈したチアミン欠乏症の1例--チアミン血中濃度と治療反応性
- 解離性昏迷・痙攣 (特集 救急精神科 救急医に求められる最低限の知識) -- (救急外来編 救急外来で対応に難渋する,または身体疾患との鑑別が問題となる4つの精神障害,または精神症状)
- 幻覚妄想状態を呈したチアミン欠乏症の1例 : チアミン血中濃度と治療反応性
- 症例 炭酸リチウム投与開始後19年経過して甲状腺機能低下症を発症した双極性障害の1例
- リエゾンと緩和(32)せん妄に対する薬物療法
- せん妄に対する非定型抗精神病薬の有用性
- 大学病院精神科デイケアにおける3年半の経過 : 医師・利用者の声から伺われるデイケア機能
- リエゾンと緩和(19)コンサルテーション・リエゾン精神医療における抗うつ薬の役割--とくにSSRIとSNRIについて
- ECTの実際と施行上の留意点
- Aripiprazoleのせん妄に対する有用性
- 手術前の精神科介入は術後せん妄の発症予防になりうるか
- せん妄患者に対する向精神薬の使い分け
- 手術前の精神科介入は術後せん妄の発症予防になりうるか