術後胸痛の原因が中心静脈カテーテルの内胸静脈迷入であった一例
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概要
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症例は74歳女性。進行胃癌の診断で、術前化学療法の後に根治切除目的に入院となった。全身麻酔導入後に右内頸静脈から中心静脈カテーテルを留置し、胃全摘を施術した。カテーテル留置を含め大きな術中トラブルはなかった。術後第5病日に胸痛を訴えたが、臨床所見を伴わず経過観察とした。経口摂取開始後、第7病日、第8病日に発熱したため、縫合不全を疑い、絶飲食としたが造影検査上は明らかな異常を認めなかった。血液検査上炎症所見の再燃を認めたため、胸腹部CTを施行したところ、右内頸静脈から留置された中心静脈カテーテルの先端が上大静脈ではなく、右内胸静脈に迷入し、その静脈炎および静脈周囲炎を認めた。カテーテル抜去にて症状は軽快し、その後感染性合併症の再燃を認めず退院した。内頸静脈穿刺から中心静脈カテーテル先端が内胸静脈に迷入することは希であるが、発生予防は困難で、発見には胸部X線撮影側面像が有用である。しかしより重要なのは、症状の訴えから迷入を予測する知識に加え、中心静脈カテーテルの留置および高カロリー輸液の適応の厳格化であると考えた。
- 日本静脈経腸栄養学会の論文
日本静脈経腸栄養学会 | 論文
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