がん患者での脂質代謝
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概要
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コホート研究において低コレステロール血症にて悪性腫瘍発症が増加する可能性やスタチン投与群で悪性腫瘍による死亡が多い事が報告されている。一方で、血液悪性疾患や固形癌を発症した後に低HDL-C血症と低LDL-C血症が惹起され、悪性腫瘍予知因子や治療目安として捉えられると報告されている。これらの機序にはTNFαなどのサイトカインが関与していると考えられる。しかし、これらの低HDL-C血症や低LDL- C血症が悪性腫瘍発症に「先行」するのか、「続発」するのかについて文献上からは結論を見いだせない。しかし、自験例の悪性リンパ腫などで低HDL-C血症や低LDL-C血症が治療により回復する事実からすると、悪性腫瘍発症に「続発」する可能性の方が大きい。メタボリック症候群との関連性の高い乳癌や前立腺癌での低HDL-C血症は同時に高LDL- C血症も合併する事が多い。こちらは悪性腫瘍発症に「先行」する病態として捉えるべきである。以上のように、悪性腫瘍に伴う脂質代謝異常はサイトカインの増加が根底に存在するもののいくつかの異なる病態が混在するものと考えられる。
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日本静脈経腸栄養学会 | 論文
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