がんの時間学と栄養障害
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
がんは、S字曲線を描いて増殖する。腫瘍細胞数が109個で約2cmとなり、臨床検出段階となる。直径が0.5mmを超えると、腫瘍中心部が低酸素状態となる。腫瘍は、血管新生因子や糖輸送蛋白、解糖系酵素を誘導し、低酸素環境に適応する。腫瘍内では、糖取り込みが亢進し、解糖系が亢進する結果、乳酸が蓄積する。肝臓では、腫瘍により生成される乳酸、末梢組織における蛋白質の崩壊により生成される糖原性アミノ酸、脂肪の崩壊により生成されるグリセロールを基質とした糖新生が亢進する。これらの代謝変動は、免疫細胞や腫瘍より産生されるサイトカインやペプチドによっても誘導される。代謝変動に加え、食欲低下、末梢組織のインスリン抵抗性などにより、癌悪液質が発症する。現在のところ、がん悪液質を改善できる有効な治療法は開発されていないが、n-3脂肪酸 (EPA) を高濃度に含む高濃度カロリー栄養剤の有用性が期待されている。
- 日本静脈経腸栄養学会の論文
日本静脈経腸栄養学会 | 論文
- 必要エネルギー量の算出法と投与の実際 各種病態におけるエネルギー,基質代謝の特徴と,至適エネルギー投与量(肝障害,腎障害)
- 酸性経腸栄養剤を用いた経腸栄養カテーテル閉塞機序の検討
- 山形大学病院における栄養アセスメントシステムの構築
- 粘度調整食品を用いた経腸栄養の胃食道逆流に伴う誤えん性肺炎の予防と患者のQOLに対する長期的影響
- がん患者の栄養管理 晩期がん病態改善のための栄養管理と食事指導