消化管手術に伴う味覚閾値の変動
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概要
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【目的】消化管手術における術前術後の味覚閾値の変動を検討した。【対象と方法】消化管手術患者20名 (胃切除11名、結腸・直腸切除9名) を対象として術前期と手術後の食事開始期、回復期の計3回、濾紙ディスク法により4味質 (甘、塩、酸、苦) の味覚検査 (検知閾値と認知閾値) を実施した。これに対して健常者20名を対照群とした。【結果】術前の検知閾値は全味質閾値が対照群の閾値より有意に高く、術後も高閾値を持続した。認知閾値でも術前期は甘味を除く3味質閾値が対照群より有意に高閾値であった。術後には大腸切除群の食事開始期認知閾値は4味質とも対照群と差がなくなったが、胃切除群では食事開始期の甘味、酸味、苦味閾値が対照群より有意に高く、酸味閾値は回復期でも高閾値であった。【結論】消化管疾患を有する患者では味覚が障害されていた。胃切除群では大腸切除群に比べ術後の味覚認知がより減退し、回復が遅延することが示唆された。これらの味覚変動の要因、さらには味覚変動と栄養状態との関連を検討することの必要性が示唆された。
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