周術期における高カロリー輸液3号製剤1バッグ管理の可能性―とくにビタミンB1の代謝に関して―
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概要
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中等度手術侵襲時の周術期におけるTPN3号輸液製剤1バッグ管理の可能性について検討した。大腸切除術後、5日間以上絶食管理の必要な症例を、TPN3号輸液製剤による1日1バッグ管理群と、投与糖質量、アミノ酸量がほぼ同等となるTPN 1号輸液製剤による1日2バッグ管理群とに分け、栄養評価、免疫学的評価、ビタミンB<SUB>1</SUB>動態に関して比較検討した。<BR>栄養・免疫学的指標は、術後5日目で両群間に有意差はみられず。術後5日目の血中ビタミンB<SUB>1</SUB>濃度は2バッグ管理群の方が高値であったが、両群とも全例基準値内で、両群間に有意差はなかった。術後5日目の尿中ビタミンB<SUB>1</SUB>濃度は、全例正常下限値以上であり、2バッグ管理群の方が有意に高値で、投与量が反映された結果と考えられた。以上より栄養・免疫学的評価、ビタミンB<SUB>1</SUB>動態からみると術後1週間程度であれば、いわゆるTPN3号輸液製剤1日1バッグでの管理は可能であると考えられた。本法は、心不全、腎不全、高齢者や低体重患者のなどの輸液量や熱量の過剰投与を避けたい症例への適応が考えられる。
- 日本静脈経腸栄養学会の論文
日本静脈経腸栄養学会 | 論文
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