口蓋インプラント43症例の臨床統計と矯正治療後の撤去インプラントの組織観察
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概要
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口蓋インプラントは歯槽骨へフィクスチャーを埋入しない新しい矯正システムとして1996年スイスで開発された.現在まで,本邦における口蓋インプラントに関する撤去までを含む長期間の臨床報告はない.本研究目的は,口蓋インプラントを使用した矯正患者の臨床統計報告と撤去後のインプラント-骨界面を組織学的に観察することである.対象症例は,歯科矯正治療のため口蓋インプラント埋入を必要とした歯列不正または顎変形症患者43例である.全症例(女性34例,男性9例.手術時年齢:15歳3か月から39歳5か月,平均21歳10か月)にscrew-typeendosseousimplant (Orthosystem<SUP>®</SUP>, InstituteStraumann, Switzerland)を使用した.Orthosystem<SUP>®</SUP>のマニュアルに従い,フィクスチャーを埋入した.初回埋入時に選択した長さは,6mmが27症例で骨結合率96.3%(26/27),4mmが16症例で骨結合率75.0%(12/16)であった.再埋入症例は5例で2回目の埋入後にすべて骨結合が得られた.全症例の骨結合率は88.4%(38/43)であった.撤去物の非脱灰標本を観察すると純チタン製フィクスチャーと緻密骨の結合がみられ,骨細胞の配列や分布に規則性があり,骨細胞突起のネットワークやオステオン構造が認められた.撤去時に生じる骨欠損部骨面には金属性の異物が付着するため,鋭匙あるいはバーを使用して可及的に除去した.生食洗浄後,骨からの出血状態を観察した後にコラーゲン性マテリアル(テルプラグ<SUP>®</SUP>)を填入し,アクロマイシンCMC軟膏を塗布して終了した.感染など有害事象は発生せず良好に治癒した.
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