ニホンザル集団における怪我をした1歳齢のオスの子への母親の反応
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概要
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勝山ニホンザル集団において,怪我をした1歳半のオスの子へ母親が行った行動を調べた。その子が怪我をする前後や,怪我をしていない同年齢の子を持つ2頭の母親との間で,その行動を比較した。1歳半のオスの子は後肢に怪我をしたため,後肢を引きずって移動するようになった。その母親は,以前に比べて,怪我をした子へ多く身体接触や毛づくろいをしていた。また,その子が怪我をする以前の観察中には,distress callは記録されなかったが,怪我をした後には,母親と接触していない時に,distress callを頻繁に発していた。怪我をした子の母親は,子のdistress callの後,他の2頭の母親よりも高い割合で,子に毛づくろいをしていた。これらの結果は,母親に強く依存してはいない1歳を過ぎた子が怪我をしたときに,子のdistress callに応じて,母親が子へ毛づくろいを多く行うようになったことを示唆している。
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