Enhancement of tumor-specific cytotoxic T lymphocyte activity in cancer patients by pretreatment with cyclophosphamide
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概要
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[目的]担癌患者においては,多くの免疫抑制因子が存在し,癌は生体の免疫監視機構をすりぬけて増殖する.腫瘍特異的サプレッサーT細胞は,癌に対する細胞障害性T細胞(CTL)の活性を抑制すると考えられており,癌患者からCTLを誘導するためにはサプレッサーT細胞を抑制する必要がある.今回,癌患者末梢血よりCTLを誘導する系でCyがCTLの誘導に与える影響について.討した.[方法]Ficoll-Hypaqueを用いた比重遠心法により癌患者末梢血単核球を分離し,200μg/mlのMMCで60分間処理した自己癌細胞,または当科で樹立したHLAclass-Iの明らかな癌細胞株と50:1の割合で3日間混合培養を行った.その後,1,000U/ml IL-2を加えた培養液でさらに4日間培養しCTLを誘導した.CTL活性はすべて4時間51Cr放出試験にて測定した.(1)in vitroでのCyの効果を調べるために,Cyを0.1∼10μg/mlの濃度で腫瘍リンパ球混合培養時に加え,3日後Cyを除いたあとIL-2を加え,さらに4日間培養しCTL活性を比較した.(2)in vivoでの検討では,300mgのCyを癌患者に投与し,2日後に得られた末梢血単核球から同様の方法でCTLを誘導し,Cy投与前のCTL活性と比較した.[結果]腫瘍リンパ球混合培養時に0.1,1.0,10μg/mlのCyを添加すると,10μg/mlの濃度で4回の実験中3回でCTL活性が増強された(0±0.9%から73.4±12.9%,5.2±2.5%から19,6±5.3%,39.5±0.4%から44.9±0.7%).つぎに300mg投与した前後のCTL活性を調べると(2人の患者を各々,実験1,実験2とする),実験1ではCyを投与することによってHLA class-IのA locusが一致する腫瘍に対する抗腫瘍活性が非常に増強するとともに(15.9±1.1%より26.5±1.1%),HLAの一致しない同種癌細胞に対しても活性が増強した.実験2ではすべての腫瘍に対する活性が増強されたが,とりわけHLA class-IのA locusが一致した腫瘍に対する活性が増強された(7.6±2.3%より28.7±2.3%).[考察]筆者らは以前,進行した肝癌患者に対するCTL療法はLAK療法よりも効果的であることを報告した.しかし,なかには,この方法が奏効しない患者もあり,癌の進行につれて増加する様々な免疫抑制因子を除去しなければならないと考えてきた.今回の検討では比較的少量のCyを患者に投与することによって,CTL活性の低い患者にもCTLが誘導可能となり,その活性はHLA class-Iの一部が一致する腫瘍のみならず,HLAの一致しない腫瘍に対しても増強されることより,CyはCTLのポリクローナルな増殖を誘導すると考えられた.養子免疫療法にCyを併用することは非常に有用と考えられた.
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