Serum immunosuppressive acidic protein in renal cell carcinoma
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概要
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Ehelich担癌マウスの腹水,および血清より免疫能抑制物質とし分離されたIAPは,各種腫瘍の非特異的腫瘍マーカーとして用いられている.今回,腎癌において血清IAP値の有用性について検討したので報告する.[対象と方法] 腎癌と診断された38∼87歳の68症例(女:16,男:52)を対象とし,40∼68歳の健康成人30人をその対象とした.臨床病期は,Robson分類に準じ,stageI∼IIをlow stage, stageIII∼IVをhigh stageとした.血清IAPは,IAPプレートを用いたsingle radical immunodiffusion法により測定,500μg/mlをcutoff値とした.統計学的検討は,Fisherのプログラムを使用し,多群間の比較はWilcoxonの手法を,また生存率の比較はKaplan-Meierの手法により行った.[結果] (1) 腎癌患者と健康成人の血清IAP値:腎癌症例での平均IAP値は,707.6±281.3μg/mlで,対照群の426.5±99.2μg/m1に比較し,有意な高値を示した(p<0.01).500μg/ml以下を正常とすると,陽性例は腎癌患者68症例中43例,対照30入中5人であった(p<0.0l).(2) 腎癌患者の血清IAP値と臨床病期の関係:Low stage例の平均IAP値は515.1±72.1μg/mlで,high stage例の936.8±120.2μg/mlに比較し,有意の低値を示し(p<0.01),その陽性例は各々37症例中13例,31症例中26例と両群間に有意の差異を認めた(p<0.0l).(3) 腎癌患者の血清IAP値と予後の関係:腎癌患者を,便宜上,IAP値により3群に分類した.正常群(_??_500μg/ml)の予後は,やや高値群(500μg/ml<_??_1,000g/ml)および高値群(>1,000μg/ml)に比較し良好で(p<0.0l),やや高値群は高値群に比し良好であった(p<0.05).high stage例において,正常群は,やや高値群および高値群に比較し予後良好であり(p<0,01),また,low stage症例において,高値群は正常群およびやや高値群に比較し予後不良であった(p<0,05).さらに,low stage症例では,入院時に比較し手術後,有意に減少し(p<0,05),その正常群では,他の2群に比較し予後は良好であった(p<0.01).[考察] 腎癌患者の血清IAP値は,健康成人に比較し有意に高値を示し,その陽性率は症例全体で63.2%,対照で16.7%であった.さらに,high stageに限ると83.9%となり,従来報告されていたb-FP,TPA,血清鉄,ハプトグロブリンなどの陽性率より高率ではあるが,腎癌スクリーニングにおける診断マーカーとしての役割,特にlow stage例においては,限られたものであると考えられた.一方,予後と血清IAP値の関係では,low stage症例でもIAP1,000μg/dl以上の症例では予後不良であり,またhigh stage症例でも500μg/dlでは予後が良好であった.また,IAP値の変動は,臨床経過をよく反映し,術後IAP正常群では長期生存が期待された.以上より,IAPは予後マーカーであり,臨床病期診断を併用によりその有用性は増すと考えられた.
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日本癌病態治療研究会 | 論文
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