Recurrence of gastric cancer in the transverse colon 10 years after gastrectomy
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概要
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胃癌の直接浸潤または腹膜播種による横行結腸再発はけっしてまれではないが,横行結腸への孤立性再発は非常にまれである.今回筆者らは,胃癌根治術後10年目に横行結腸に孤立性の再発をきたした1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性で,1976年に胃癌に対してAppleby手術を施行した.肉眼的にはM領域症小弯を中心とした潰瘍性病変であり,組織学的には低分化腺癌でse,n1であった.術後経過は非常に順調であったが,1986年満腹感を主訴に近医を受診し,注腸検査にて横行結腸の狭窄を指摘され当科を受診した.大腸内視鏡検査では,狭窄部位粘膜は浮腫を伴った不規則な多数の結節を呈していたが,潰瘍性病変は認められなかった,また,生検では悪性組織は得られなかった.確定診断つかないも狭窄部位切除の目的で手術を施行した.開腹所見では,横行結腸の中央部に約10cmの腫瘤を認め,横行結腸切除術を施行した.標本の粘膜面は浮腫状を呈しており,一部に結節を形成していた.組織学的には漿膜下を中心に低分化腺癌を認め,癌細胞は粘膜下にまで達していたが粘膜面は正常であり,結腸外から浸潤してきたものと考えられた.また,癌組織所見が前回の胃癌組織と非常に類似しており,以上より胃癌術後10年目に横行結腸再発をきたした症例と診断した.胃癌の再発は約80%が術後5年以内に起こるといわれており,筆者らの施設でも,86.5%が治癒切除後3年以内に起こっている.胃癌の大腸への孤立性転移という形での再発例はまれであり,筆者らの症例を含めて検討してみると,約40%のものは5年以上経過してから再発しており注目すべき点である.また,肉眼型はBorrmann3型で,胃体中部に存在するものが多く,進達度はすべてssγあるいはseとps(+)の症例である.この症例はse,n1であり,大腸への転移経路としては腹膜播種がもっとも考えられるが,血行性,リンパ行性に起こった可能性も否定しきれない.また,linitis plastica型の大腸癌との鑑別も必要である.ただこの型のものは圧倒的に直腸,S状結腸に発生するものが多く,横行結腸という部位,腸管壁内の癌の進展形式などより,筆者らの症例は胃癌の孤立性転移と考えられた.胃癌術後再発例において,切除できる症例は多くはないが,10年経過してから再発を確認し切除できる症例もあり,手術後長期にわたる経過観察は非常に重要であると思われた.
- 日本癌病態治療研究会の論文
日本癌病態治療研究会 | 論文
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