Chemosensitivity Testing of Advanced Lung Cancer by the Chick Embryo Assay
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概要
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肺癌に対する術後多剤併用化学療法の有用性を検討する目的で,受精鶏卵の漿尿膜上にヒト腫瘍が移植可能な実験系(鶏卵法)を抗癌剤感受性試験として応用し,臨床効果との比較を行った.[対象と方法]本施設において手術を施行された原発性肺癌117症例に対し,その切除材料を用いて抗癌剤感受性試験を行った.内訳は男91例,女26例で,年齢は平均64.3歳,組織型別では腺癌51例,扁平上皮癌46例,腺扁平上皮癌8例,大細胞癌5例,小細胞癌7例であった.孵卵11日目の受精鶏卵の漿尿膜上に細切した腫瘍を移植し,3日後に抗癌剤を漿尿膜の血管内に投与した.腫瘍移植の7日後に生育した腫瘍塊を摘出して抗腫瘍効果を判定した.抗癌剤は,臨床投与量を胎児の平均体重に換算して投与した.現在,肺癌に対して頻用されているCDDP+VDS(PV療法),CDDP+ADM+MMC(PAM療法),MMC+VDS+CDDP(MVP療法)の三つの多剤併用化学療法について鶏卵法と臨床効果との比較検討を行った.感受性試験を行った117症例のうち,臨床効果との相関性が検討可能な症例は26例であった.臨床効果は,術後のfollow upを参考にし,IV期または絶対非治癒切除例では1年,それ以外のIII期では2年,II期では3年以上生存した場合その化学療法を"有効"と判定した.[結果]鶏卵法を用いて感受性試験を行った117症例に対する各化学療法の有効率は,PV療法が16.9%,PAM療法が13.8%,MVP療法が19.0%であった.肺癌の大部分をしめる腺癌と扁平上皮癌についてプロトコール別に有効率をみると,腺癌に対してPV療法は14.8%,MVP療法は17.6%であり,扁平上皮癌に対してPV療法は23.8%,MVP療法は42.1%であり,特に扁平上皮癌に対するMVP療法の有用性が示唆された.retorospectiveに臨床効果との相関性が評価可能な26症例のうち観察期間の短い症例を除く24例の臨床相関性はtrue positiveが4例,true negativeが15例,false negativeが5例であった.以上より鶏卵法の肺癌に対する臨床での併用化学療法の予測率は79.2%であった.[考察]肺癌は比較的早期から遠隔転移を生じやすいという臓器特異性があり,予後の改善には術後の全身化学療法の併用が不可欠である.したがって,肺癌の個々の症例に対して有効な術後の多剤併用化学療法が選択できる抗癌剤感受性試験法が開発されれば,肺癌の治療成績の向上に大きく貢献できると考えられる.本研究は,臨床に即した多剤併用化学療法を評価できる感受性試験法としてin vivo鶏卵法の基礎的な検討を行い,臨床効果との相関性を検討した.鶏卵法を用いた感受性試験法は,短期間に効果判定が可能であり,試験成功率も高く,肺癌に対する多剤併用療法が的確に評価可能である.さらに,臨床効果の予測率が高く,再現性も良いことから,有用な抗癌剤感受性試験であると考えられた.
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日本癌病態治療研究会 | 論文
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