Prognostic value of sialyl-Tn antigen in gastric carcinoma
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概要
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近年,糖鎖抗原は腫瘍マーカーとして重要な位置を占めている.糖鎖性腫瘍マーカーの一つであるcarbohydrate antigen 19-9 (CA19-9), sialyl Lewisx-i (SLX)などは基幹糖鎖を抗原としたものであるが,これに対しシアリルTn抗原(sialyl Tn antigen, STN)はモノクローナル抗体TKH2が認識する糖鎖抗原であり,母核糖鎖に属する.近年,STN抗原の癌関連抗原としての意義が認識され,各種癌において新しい腫瘍マーカーとして注目されている.今回,筆者らは術後再発および再発形式と原発巣におけるSTN抗原の発現との関係について免疫組織化学的に検討した.[対象と方法]1986,87年に当院に入院した胃癌患者のうち,治癒切除された152例を対象とした.これらの症例の切除標本を10%ホルマリン固定の後,パラフィン包埋し4μm切片を作成した.一次抗体としてTKH2 (Otsuka Assay Lab.)を20倍希釈して用い,室温にて組織切片と1時間反応させた.streptoavidine-biotin法にて免疫組織化学染色を行い,発色はdiaminobenzidineを用いた.判定は切片を光顕的に観察し,癌組織中の陽性範囲が5%以上のものを陽性とした.有意差検定はX2検定を用いた.[結果]STN抗原は胃癌組織,特に細胞質,細胞膜において強い発現を認めた.胃原発巣におけるSTNの発現は74例(48.7%)にみられた.臨床病理学的諸因子別にSTNの発現を検討した.リンパ節転移陽性症例ではリンパ節転移陰性の症例にくらべて有意に(P<0.01)STNの発現率は高かった.また,壁深達度,組織学的進行度が進むにつれ,STN発現率は高値を示した.STNの発現と予後との関係については,STN発現陽性例では有意に(P<0.01)予後不良であった.[結論]胃癌組織中のSTN抗原の発現は組織学進行度と相関し,STN抗原発現例では発現陰性例にくらべ,有意に予後不良であった.STN抗原の免疫組織化学的検討は予後の指標の一つとして,また術後の補助療法の選択において有用であると思われた.
- 日本癌病態治療研究会の論文
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