潰瘍性大腸炎に合併した肛門病変 第1報─自験例の検討─
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概要
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クローン病に合併する肛門病変は,合併頻度が高く詳細な報告例も多い.一方,潰瘍性大腸炎に合併する肛門病変については,その頻度も臨床的特徴も明らかにされていない.今回,潰瘍性大腸炎に合併する肛門病変の臨床的特徴を明らかにするために,自験例の検討を行った.合併頻度は2.7%であった.一般の肛門疾患と比較して,痔核・裂肛が少なく(25.5%),痔瘻・膿瘍が多かった(76.2%).61.9%は全大腸炎型に合併したが,左側大腸炎型や直腸炎型にも合併した.活動期,寛解期,術後のいずれの時期にもみられた.クローン病におけるHughes分類の概念を潰瘍性大腸炎の肛門病変に適用し,その発生機序からprimary lesion,secondary lesion,incidental lesion,術後の吻合部に関連した瘻孔に分類した.クローン病のような特徴的なprimary lesionはみられなかった.incidental lesionは局所手術が奏効する例が多かった.secondary lesionは全例瘻孔・膿瘍で,吻合部瘻孔とともに治療に難渋し,大腸全摘術やileostomy造設を要する例が多かった.潰瘍性大腸炎においては,瘻孔・膿瘍を主体とした肛門病変が存在することを念頭において診療を行うことが重要である.
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日本大腸肛門病学会 | 論文
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