亜熱帯域におけるシカクマメのカバークロップおよび食用作物としての利用可能性
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概要
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亜熱帯域におけるシカクマメの栽培に関する研究はほとんどない現状にある。本報では,耕作未利用地での土壌被覆能や雑草防除を目的にしたカバークロップとしての食用作物のシカクマメの利用可能性を調査するとともに,若莢収量や子実収量から食用作物として,さらに,若莢収穫後に茎葉を収穫した場合の緑肥としての可能性を調査した.<BR>シカクマメは初期生育が遅く,株間の土壌被覆率は播種12週間後でも約0.6m<SUP>2</SUP> m<SUP>-2</SUP>程度であったが,播種16週間後から播種32週間後まではほぼ完全に土壌を被覆し,沖縄での台風シーズンの土壌浸食防止機能や雑草防除機能は高いと考えられた.<BR>シカクマメの若莢は播種28週間後から播種34週間後まで収穫可能であり,総収量は新鮮重で1.46 kg m<SUP>-2</SUP>であった.また,シカクマメの地上部が枯死する2月における子実収量も約0.18 kg m<SUP>-2</SUP>と高く,食用作物としても十分な収穫が可能であった.<BR>若莢収穫終了時における地上部の窒素,リンおよびカリウム吸収量は,それぞれ約20.0,2.7および6.3g m<SUP>-2</SUP>であり,緑肥として十分な効果があると思われた.<BR>以上より,シカクマメをカバークロップとして栽培した場合,未利用地からの土壌浸食の防止,土壌肥沃度の維持・向上を果たすだけでなく,本来の食用作物としての収穫も可能であり,シカクマメは高い可能性を秘めた今後さらに詳細な調査をする価値のある植物であることが明らかになった.
- Japanese Society for Tropical Agricultureの論文
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