高齢者の聴力低下と左右差が精神活動と社会的交流に及ぼす影響
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概要
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目的 : 本研究は, 地域在住の高齢者において聴力低下および聴力の左右差が精神活動と社会的交流に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする. 方法 : 日常生活が自立している高齢者56人を対象に聴力測定と質問紙調査を実施し, (1) 聴力低下レベルで3群に分類, (2) 聴力の左右差の有無で2群に分類した. 各群に対し, 精神活動と社会的交流に関する項目について群間比較を行った. 結果 : (1) 聴力と精神活動との間に直接的関連は見出せなかったが, 聴力低下が中等度以上の群は他者との交流を避ける傾向があり, 閉じこもりの危険要因となる可能性が示された. (2) 聴力の左右差がある者は孤独感が強まり, うつ傾向となる危険性が見出された. 考察 : 聴力低下や聴力の左右差は, 高齢者の精神活動や社会的交流に影響を及ぼすことが明らかにされた. うつ, 閉じこもりはいずれも介護予防事業施策の対象であり, 聴力低下の実態を主観的および客観的評価の両面から把握する必要がある.
- 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会の論文
著者
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松田 ひとみ
筑波大学大学院3年制博士課程, 人間総合科学研究科, ヒューマン・ケア科学専攻, 高齢者ケアリング学分野, 博士課程3年次
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田所 夕子
筑波大学大学院3年制博士課程, 人間総合科学研究科, ヒューマン・ケア科学専攻, 高齢者ケアリング学分野, 博士課程3年次
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