腹水穿刺排液後に肝不全を生じたが腹水濾過濃縮再静注法により良好な経過が得られたアルコール性肝硬変の1例
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概要
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症例は58歳の男性.アルコール性肝硬変による腹水で入院となった.Child-Pough scoreは12点であった.塩分制限食および利尿剤に抵抗性の難治性腹水で,アルブミン製剤の投与でも改善せず,穿刺排液により意識障害を生じ,肝性脳症と肝不全を発症した.腹水濾過濃縮再静注法(Cell-free Concentrated Ascites Reinfusion Therapy:CART)の導入以降は肝性脳症の発症なく,腹水は減少した.禁酒の継続が成功し,血清アルブミン値は2.4 g/dlから3.6 g/dlに上昇し,CARTを離脱した.Child-Pough scoreは6点に改善した.CARTは本邦の肝硬変診療ガイドラインでは穿刺排液と同等に有効とされているが,穿刺排液と比較して肝性脳症,腎障害,電解質異常などの合併症の出現率が低い.本症例から,特に肝予備能不良の肝硬変例では,CARTは副作用が少なく有効な腹水治療法であると考えた.
著者
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高井 敦子
帝京大学医学部附属溝口病院第4内科
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松井 克之
帝京大学医学部付属溝口病院
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宮川 浩
帝京大学医学部第四内科
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菊池 健太郎
帝京大学医学部附属溝口病院 Infection Control Team
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菊池 健太郎
帝京大学医学部附属溝口病院第四内科
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山田 はな恵
帝京大学医学部附属溝口病院第四内科
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梶山 祐介
帝京大学医学部附属溝口病院第四内科
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熊崎 俊樹
帝京大学医学部附属溝口病院第四内科
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宮川 浩
帝京大学医学部附属溝口病院第四内科
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高井 敦子
帝京大学医学部附属溝口病院第四内科
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