元素戦略プロジェクト—NO分子解離に向けた脱貴金属触媒の設計—
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概要
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密度汎関数理論に基づく第一原理計算を援用し,銅ベース触媒における一酸化窒素の解離反応を調査した。銅終端されたCu2O(111)表面での一酸化窒素の解離はRh(111)表面での反応性に匹敵し,その遷移状態は両表面ともに気相状態よりエネルギー的に安定であった。これらの結果は,表面銅原子の電子状態や表面構造の変化に起因している。Cu2O(111)表面の銅原子の局所状態密度から,d軌道がフェルミ面近傍に移行しており,一酸化窒素の吸着および解離を容易化している。Cu(111)表面では,解離に大きな活性化障壁が伴い,一酸化窒素は脱離する傾向にある。また,酸素終端されたCu2O(111)表面への窒素原子と酸素原子の解離吸着は,表面下の酸素原子との反発によって不安定であることが分かった。本研究は,貴金属・有害物質を用いない機能性材料創成に向け,文部科学省による元素戦略プロジェクトと他研究グループとの連携を通じて行われた。
著者
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田中 裕久
ダイハツ工業(株)
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御立 千秋
北興化学工業 化成品研究所 ファインセラミックス研究室
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西畑 保雄
(独)日本原子力研究開発機構
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笠井 秀明
大阪大学応用物理学専攻
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Padama Allan
大阪大学応用物理学専攻
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田中 裕久
ダイハツ工業
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