P4-08 二世代および三世代にわたって見られた家族性地中海熱
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概要
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諸言:家族性地中海熱は,MEFV遺伝子異常による常染色体劣性遺伝性疾患であり,数時間から3-4日持続する発熱が周期的に見られ,発熱発作時に腹痛や胸痛,関節痛,皮疹などを伴うことを特徴とする.今回,2世代および3世代にわたって認められた2家系について報告し,その遺伝的背景について考察する.家系(1):父63歳.31歳頃から胸痛,腹痛を伴う発熱発作が持続している.発熱発作は24時間程度持続するが,周期は不定.娘35歳.10歳頃から同様の発熱発作が持続.家系(2):3世代にわたって5名に胸痛や腹痛を伴う発熱発作が持続している.方法:direct sequenceによって,MEFV遺伝子変異を検討した.また,優性遺伝形式をとっている可能性を考慮し,MEFV遺伝子全長をpcDNA3にクローニングし,MEFV遺伝子変異を解析した.結果:患者全員において,heterozygousなE148QおよびM694I変異を確認した.クローニングしたMEFV遺伝子の解析結果より,家系1では,この2つの変異の複合ヘテロ変異であり,家系2では,1つのアリル上に2つの遺伝子変異が存在していた.家系1はpsuedo-dominant inheritanceであり,また,家系2で示すように,今回国内患者では初めて,常染色体優性遺伝形式の家族性地中海熱患者を明らかにした.
著者
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原 寿郎
九州大学大学院医学研究院
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井田 弘明
久留米大学内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門
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瀧本 智仁
九州大学大学院医学研究院 成長発達医学
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高田 英俊
九州大学大学院医学研究院 成長発達医学
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石村 匡崇
九州大学大学院医学研究院 成長発達医学
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