P3-11 転写因子IRF 5が接触皮膚炎に与える影響について
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概要
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転写因子IRF5はToll様受容体-MyD88シグナル伝達系の下流で働く調節因子であり,これまでにマクロファージやB細胞で主要な分化調節因子としての機能を有することが知られている.今回我々はIRF5欠損マウスを用いて,本転写因子が接触皮膚炎に与える影響につき検討を行った.野生型およびIRF5欠損マウスにDNFB若しくはFITCを腹部に塗布して感作させた後,耳介に再度塗布して惹起を行ったところ,野生型マウスと比較しIRF5欠損マウスではDNFB塗布による耳介腫脹は有意に減弱していた.一方,FITCを塗布した場合は,逆にIRF5欠損マウスでは耳介腫脹は有意に増強していた.耳介組織内サイトカインmRNA発現を検討したところ,野生型マウスと比較し,IRF5欠損マウスではTh2反応が亢進していた.次に,感作した野生型もしくはIRF5欠損マウスのリンパ球を野生型レシピエントマウスに移入した後にDNFB塗布により惹起を行ったところ,野生型マウスと比較し,IRF5欠損マウスリンパ球移入群では野生型レシピエントマウスの耳介腫脹は有意に減弱していた.更に,野生型およびIRF5欠損マウスより抗原提示細胞を抽出し,野生型マウス由来T細胞と共培養を行ったところ,in vivoに合致する結果を得た.以上より接触皮膚炎モデルにおいて転写因子IRF5は感作相においてTh1反応を促進させる因子であると考えられた.
著者
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門野 岳史
東京大学医学部 皮膚科
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佐藤 伸一
東京大学医学部 皮膚科
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市村 洋平
東京大学医学部 皮膚科
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遠山 哲夫
東京大学医学部 皮膚科
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山田 大資
東京大学医学部 皮膚科
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増井 友里
東京大学医学部 皮膚科
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