W8-1 関節リウマチにおける抗原特異的T細胞応答
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概要
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関節リウマチ(RA)においては抗シトルリン化蛋白抗体(ACPA)に代表される自己抗体が出現するといった自己免疫応答の異常の病態への関与は明らかであり,自己抗原特異的CD4陽性T細胞のRAにおける中心的な役割が想定されている.特に,RAのリスク多型であるHLA-DR4に提示される自己抗原由来epitopeの検索が盛んに行われている.RAにおける抗原特異的CD4陽性T細胞エピトープについては,シトルリン化ビメンチン(citVim59-78),シトルリン化アグリカン(citAgg84-103)に関する報告がある.citVim59-78については健常人と比較しRAでCD4陽性T細胞のCD154(CD40L)発現亢進およびIL-17,IFN-g産生を誘導する.citAgg84-103はRAでT細胞増殖,IL-17産生を強く誘導する.一方で,テトラマー解析ではその頻度は末梢血T細胞106 cellsに1~5細胞という低頻度で健常人とRAとの差も明らかではない.我々のグループではRAにおける自己抗原BiP由来HLA-DR4 epitopeを同定している.BiPeffはT細胞増殖を誘導し,BiPregは増殖を誘導しないが,IL-10産生を誘導し,BiPeffによる細胞増殖を抑制する制御性エピトープであり,エピトープ配列により異なるT細胞応答が観察された.RAにおいてはBiPeff特異的T細胞応答が亢進することで自己免疫寛容破綻,自己抗体出現,炎症性サイトカインの亢進が生じると考えられ,RAの病態解明,治療応用が期待される.
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