W6-4 免疫不全症
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
免疫不全症とは免疫担当細胞の欠陥により免疫機能の破綻をきたす疾患であり,種々の微生物による反復感染と感染症の長期化,いわゆる易感染性を大きな特徴とする.原因によって原発性と続発性に分かれ,続発性は栄養失調,HIVや麻疹などのウイルス感染,化学療法や移植などの医原性などさまざまな場合があり,むしろ頻度は続発性の方が多いが,基礎疾患によって病態が複雑である.ここでは原発性免疫不全症(PID)に絞ってその基本病態について述べる.PIDは易感染性のみならず自己免疫疾患や悪性腫瘍の合併率も高いことが知られており,現在200種類以上あり,そのほとんどで原因遺伝子が同定されている.PIDの原因遺伝子はこれまでその機能解析から候補遺伝子がアプローチされることが多かったが,最近は次世代シークエンサーの普及によって全エキソームシークエンスにより候補遺伝子が同定されることが増え,毎月のように新たなPIDが報告されている.全エキソームシークエンスにより見つかる原因遺伝子は新規であるとは限らず,既知のPIDの予想外の表現型であることもしばしばである.免疫分子が疾患の原因であるということはその分子がヒトの免疫発達においては必須のものであることを示す貴重なデータであり,PIDの原因遺伝子探索はヒト免疫学の病態解明に欠かせないものであり,多くの研究者に興味を持ってもらいたい.
- 日本臨床免疫学会の論文
著者
関連論文
- 慢性活動性EBウイルス感染症の長期予後について
- 緑膿菌敗血症で発症した好中球減少症を伴うX連鎖無γグロブリン血症の1例
- シュウ酸カルシウム尿路結石症を合併した急性リンパ性白血病の1例
- MYH 9 R702変異を有する Epstein 症候群9例の臨床像および病理組織学的解析
- X連鎖リンパ増殖性疾患
- 最近経験した transient abnormal myelopoiesis の5例
- 膵分泌性トリプシンインヒビター遺伝子変異を認めた家族性膵炎の1例
- 耳性水頭症の1例
- IPEX症候群とヒト Treg 細胞
- 可逆性脳梁膨大部病変を伴った toxic shock syndrome の1例
- 松果体 yolk sac tumor の治療経過中にパーキンソン症候群を発症した男児例
- 抗菌薬投与により治癒し得た再発性肝膿瘍を合併した慢性肉芽腫症の一例
- P4-07 BTK変異をみとめたIgA単独欠損の解析
- W6-4 免疫不全症