W2-4 自己免疫性皮膚疾患の病態と自己抗体
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概要
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天疱瘡は,デスモグレイン1,3(Dsg1,Dsg3)に対する自己抗体によって生じる自己免疫疾患である.同一患者の経過の中で,抗体価と病勢は平行して推移する.しかし,異なる患者間で,抗体価は重症度と必ずしも相関しない.患者毎に,デスモグレイン分子上のエピトープが異なるためである.細胞接着活性上重要な部位を認識する抗体は,効率よく水疱を形成し,高い病的活性を示す.近年,患者末梢血より,ファージライブラリーを作成し,一本鎖モノクローナル抗体が単離されるようになり,さらに詳細に病的活性とエピトープの関係が明らかになってきた.さらに,得られた病的モノクローナル抗体の多くは,デスモグレイン分子のN末にある接着面を認識し,抗体のCDR3領域の配列に,D/E-X-X-X-Wという共通の配列を有することが明らかになった.このことにより,病的活性を示すモノクローナル抗体は,デスモグレイン分子の接着面を形成するtryptophan acceptor siteに結合し,接着傷害を起こしていることが推察された.また,Dsgは,細胞内の小胞体で前駆体(preDsg)として生成され,細胞表面に運ばれる間にプロペプチドがはずれて成熟タンパク(matDsg)となる.チュニジアに見られる風土病型落葉状天疱瘡において,健常人からpreDsg1に対する自己抗体が検出されることが示され,発症前段階における病態解明の手がかりとなることが期待されている.
- 日本臨床免疫学会の論文
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