下関開催記念シンポジウム3 難治性自己免疫疾患に対する造血幹細胞移植療法 —その基礎と臨床—
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概要
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自己免疫疾患の中には進行性の間質性肺炎や皮膚硬化を呈し,治療抵抗性で予後不良の疾患群が依然として存在し,その克服が重要な課題となっている.欧米では,動物実験における研究成果を基にこのような難治性自己免疫疾患症例に対する新規治療法として,自己造血幹細胞移植(自己HSCT)の臨床応用が始まり,われわれも難治性自己免疫疾患23例に対し自己HSCTを施行した.対象症例の内訳は全身性硬化症(SSc)19例,皮膚筋炎3例,多発血管炎性肉芽腫症1例で自己HSCT後,皮膚硬化,間質性肺炎,皮膚潰瘍の改善や自己抗体の低下等多くの症例で臨床的寛解が得られ,その効果は長期間持続した.治療関連死は認めなかった.有効性のメカニズムを明らかにするため,自己HSCT後の免疫学的再構築を検討したところ,SSc患者では自己HSCT後5年間Th1/Th2バランスにおいてTh1優位が持続した.TCRレパトアの多様性の解析ではSSc患者において治療前は一部のVβのCDR3サイズがoligoclonalまたはmonoclonalな分布を示したが,自己HSCT後にTCRレパトアの多様性が有意に回復した.SSc患者ではリンパ球各亜分画において健常人とは異なる遺伝子発現プロファイルを示したが,自己HSCT後に正常化する傾向が認められた.以上,難治性自己免疫疾患の治療において,自己HSCTは有力な選択肢の一つと考えられる.
- 日本臨床免疫学会の論文
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