華北平野の地下水水位低下に関する地質学的解釈
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概要
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華北平野の地下水は過去数十年にわたり顕著な水位低下を起こしている.その原因は農地への大量の灌漑と都市部での多量の地下水汲み上げである.本報告では,帯水層の観点から地下水位低下を解釈するために,地下水位モニタリング記録と第四系岩相との比較対照を行った.この結果,地下水が豊富に含まれる箇所は,砂礫層がレンズ状に発達している地域に限定されることが判明した.一方,深層地下水の年代が10,000年以上古いと測定されている事から,地下水資源は化石資源と考えざるを得ないことが判明している.従って,現在と同じ速度で地下水の過剰生産を継続すると,地下水の消滅や顕著な水位低下による地盤沈下,水質悪化などの問題が生ずる.この問題を回避するためには,灌漑用水の効率的な使用と工業用水・家庭用水の浄化による再利用が不可欠である.
- 産業技術総合研究所地質調査総合センターの論文
著者
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石井 武政
AIST, Geological Survey of Japan, Institute for Geo-Resources and Environment
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玉生 志郎
AIST, Geological Survey of Japan, Geological Museum
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村岡 洋文
AIST, Geological Survey of Japan, Institute for Geo-Resources and Environment