構成員からみる不登校の親の会の変化と現在:―北海道の23団体を対象として―
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概要
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近年,不登校の子どもへの支援が官民双方で充実しつつあり,不登校の親の会への参加者が減ってきていると言われている。そうした環境変化の中で,親の会の内実はどのように変化してきているのかという課題に関して,構成員に着目することを視点に検討を行った。 調査対象となった北海道内の親の会23団体では,たしかに例会参加者は減少傾向にあるものの,そのことが必ずしも構成員の縮小には結びついていないことが明らかとなった。つまり,親の会では参加者の世代交替がうまくいっておらず,既存のメンバーが滞留傾向にある。それに伴い会の運営を担うリーダー層は固定化によって高齢化が著しくなっている。 他方,リーダー層以外の参加者も,かつては積極的に活動に関与していたが現在では消極的に変化しているという周辺層と,加入当初からずっと中心的なメンバーとして活動をしてきた中心層という違いがみられる。このうち中心的なメンバーの子どものほうが中退経験と中卒者が多いことから,そうした「不登校」というつまずきを拭いきれない現実が,過去を肯定し続ける中心的なメンバーのあり方に結びついていると考えられた。このように,親の会では滞留しているメンバーのニーズはなくなっていないのであり,未だその役目を終えるわけにはいかないと言える。
著者
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