ブラジル人学校生徒および保護者の将来志向とその規定要因
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概要
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本論文では,ブラジル人学校保護者および生徒を対象に,2006年に愛知県豊橋市および静岡県湖西市において,2008年に静岡県浜松市において実施した2つの調査結果を用い,その将来志向の規定要因について分析を行った。 まず,ブラジル人学校生徒が持つ「ブラジル帰国志向」の規定要因を検討してみたところ,「年齢」,「滞日期間」,「日本の学校経験」といった変数が,「ブラジル帰国志向」を弱める一方,日本人に差別されたという意識が「ブラジル帰国志向」を強めていた。しかしながら,こうした生徒本人に関わる変数を統制してもなお,「親の日本残留意思」が,2006年豊橋調査,2008年浜松調査のいずれの調査でも,一貫して子どもの「ブラジル帰国志向」に大きな影響を与えていた。 次に,子どもの意識に対して大きな影響を与えていた,親の「日本残留意思」の規定要因を分析してみたところ,2006年豊橋調査では,ブラジルの治安や経済が回復したら帰国するという「条件付き帰国意思」や「日本の生活環境評価」が「日本残留意思」を強める一方,「メリトクラシー志向」が「日本残留意思」を弱めていた。2008年浜松調査では,「条件付き帰国意思」はやはり「日本残留意思」を強める効果を持っていたが,「メリトクラシー志向」や「日本の生活環境評価」は「日本残留意思」に影響を与えておらず,代わって「日本人への評価」あるいは「子どもの年齢」が「日本残留意思」を強める傾向が見られた。
著者
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