不登校の親の会の意義に関する一考察
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概要
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不登校の親の会には,例会には積極的に参加していない,言わば“周辺的なメンバー”としての親たちが存在している。本稿ではこうした親たちにとっての親の会の意味を明らかにするために,なぜ例会に足を運ばないのか,そしてそうであるにもかかわらず,なぜ所属し続けているのかということについて,親たちの語りを用いて検討した。 その結果,例会から足を遠のかせる要因は外的なものばかりでなく,内的なものもあることがわかった。経験談が飛び交う例会の場には,親たちに“つらさ”を顕在化させるメカニズムがある。本稿ではこのつらさに関して,経験を語ることのつらさと聞くことのつらさに分けてみたところ,聞くことに伴うつらさのほうが例会から足を遠のかせるより強い影響をもつことが明らかとなった。例会ではつらいならば無理に語ることは強要されないが,他の親たちの語りを聞くことは回避することが困難であるからだと考えられる。 ただし,周辺的なメンバーは例会に参加していなくとも,親の会に所属していることに意義を見出している。具体的には,親の会から不登校に関連する情報を得られることと,親の会が精神的な支えとして存在していることであった。こうしたことから,親の会には例会の場における課題だけではなく,周辺的なメンバーが見出す意義も含めて,そのあり方を見つめ直すことが求められると考えられる。
- 北海道社会学会の論文
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