炭素・窒素・酸素安定同位体比分析による湯通し塩蔵ワカメの産地判別の可能性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,三陸産(45検体)·鳴門産(64検体)·中国(54検体)·韓国(46検体)において産地の明確な湯通し塩蔵ワカメを浜単位で入手し,炭素·窒素·酸素安定同位体比を用いて,産地判別の可能性を検証した.鳴門産については,炭素·窒素同位体比ともに,個体内変動·季節変動·地域変動が小さく,全般的に値が安定した傾向が見られた.また,鳴門産の窒素同位体比は10.7±1.1‰(平均値±標準偏差)となり,三陸産(1.4±1.9‰)·韓国産(0.5±1.6‰)·中国産(3.0±2.5‰)よりも有意に高い傾向が得られた.一部中国産については,炭素同位体比が低く,窒素同位体比が高くなる傾向が得られた.酸素同位体比は,韓国産が比較的高い値を示したが,日本·中国·韓国の平均値の差は2.1‰となり,地域差は小さかった.炭素·窒素同位体比の結果を用いて,鳴門産とその他(三陸·中国·韓国)の2群について判別分析を行った結果,判別関数を構築した試料について,正答率を計算すると,鳴門産は98.4% (64点中),その他産は99.4% (145点中)となった.交差検証法を用いて判別関数の精度を検証した結果,96.8%の鳴門産が正しく分類された.年変動といった検証が必要であるが,炭素·窒素同位体比によって,鳴門産を判別できる可能性が高いと考えられる.
著者
-
鈴木 彌生子
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所食品分析研究領域
-
鈴木 彌生子
独立行政法人農研機構食品総合研究所食品分析研究領域
-
中山 和美
理研ビタミン株式会社 品質保証本部 食品分析センター
-
絵面 智宏
理研ビタミン株式会社 品質保証本部 食品分析センター
-
國分 敦子
理研ビタミン株式会社 品質保証本部 食品分析センター
-
中山 和美
理研ビタミン株式会社 品質保証本部 食品分析センター
関連論文
- 青森県津軽平野を対象とした生育水と精米の軽元素安定同位体比の相関性
- 元素分析計-同位体比質量分析計による有機物試料の炭素・窒素・酸素安定同位体比分析の試験所間比較
- 炭素・窒素・酸素安定同位体比分析による湯通し塩蔵ワカメの産地判別の可能性
- 炭素・窒素・酸素安定同位体比分析による湯通し塩蔵ワカメの産地判別の可能性
- 湯通し塩蔵ワカメの安定同位体比と微量元素組成の年次変化及び産地判別の可能性