ヘリコプタベースリモートセンシングを利用した馬鈴薯生育のばらつきの解析と対策
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概要
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精密農業は,圃場内の作物生育や土壌のばらつきを的確に把握し,作物生育の均一化を図るための営農マネジメントである.近年,衛星画像を利用した作物生育のばらつきを把握するための研究が行われている.しかし,衛星画像の撮影は天候に左右されるため,リアルタイムな作物生育のばらつきを把握することは困難である.そこで,本研究では,リアルタイム性のある産業用無人ヘリコプタによるリモートセンシングを採用し,前作の違いにより施肥体系が極端に異なる馬鈴薯圃場を供試圃場とした.また,馬鈴薯生育,土壌腐植情報,および前作情報をGISにより統合することで,馬鈴薯生育のばらつきに及ぼす要因の解析を試みた.その結果,馬鈴薯生育のばらつきは,前作の施肥体系の違いに比べ,腐植含量の大小に影響を受けており,特に腐植含量が高い区域では窒素過剰による品質低下を受けていることが明らかになった.このことから,この圃場における作物生育のばらつきを解消するための対策は,土壌腐植情報に基づいた,局所的な窒素肥培管理であることが明確となった.さらに,産業用無人ヘリコプタで,圃場の標高データを取得し,そのデータをGISに導入した結果,腐植含量が高い区域は圃場の凹部に分布することが明瞭になった.したがって,腐植含量が高い区域の馬鈴薯に対する適切な窒素肥培管理のためには,局所的管理以外に排水改良の必要性が示唆された.
- 農業情報学会の論文
著者
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清野 伸孝
(株)ズコーシャ
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SEINO Nobutaka
Zukosha
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横堀 潤
Zukosha. co.,Ltd.
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野口 伸
Graduate school of Agriculture, Hokkaido University
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清野 伸孝
Zukosha. co.,Ltd.
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丹羽 勝久
Zukosha.co.,Ltd.
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丹羽 勝久
Zukosha. co.,Ltd.
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