パーミエーションチューブ法による低濃度スチレン校正蒸気連続発生方法の確立
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
スチレン蒸気の測定には固体捕集/溶媒抽出/ガスクロマトグラフ法が多用されている。しかし室内環境の低濃度蒸気の分析では,溶媒抽出時の回収率が低いため測定値は過小評価されている。従って回収率を含めた分析精度を見直す必要があり,そのためには校正蒸気の供給が不可欠となる。低濃度蒸気の調製には連続調製法が有効であり,パーミエーションチューブ(P-tube)法はこれに適している。そこで本研究では,P-tube法による室内水準スチレン校正蒸気の連続供給を目的とした。径一定のポリテトラフルオロエチレンチューブに,スチレンモノマー及び重合防止剤を充填しP-tubeを作製した。これを一定温度に保持し乾燥清浄空気を連続的に通気して蒸気を発生させ,任意間隔毎にP-tube重量を測定した。またガスクロマトグラフにより蒸気の定性分析を行った。この結果,重合防止剤の添加により,P-tube重量は1年以上一定の割合で減少した。測定間隔当たりのP-tube減少重量から浸透速度を算出し,これと希釈用ガス流量から発生濃度を算出した結果,室内水準蒸気の発生が可能であることが示された。蒸気定性分析の結果,スチレンモノマーの発生が確認され,これに対しスチレン二量体及び重合防止剤蒸気の発生は確認されなかった。これより,作製P-tubeにより不純物のない室内水準のスチレン蒸気を長期間,安定して連続供給できることが示された。
著者
関連論文
- 大気汚染から室内汚染へ
- ディスク型固相捕集とGC大量注入法を用いた室内空気中の有機リン化合物類の分析
- 化学物質による室内空気汚染
- 水晶振動子と酸化剤を利用するトリクロロエチレンの簡易測定
- 室内環境汚染物質としてのホルムアルデヒド(その3)
- 室内環境汚染物質としてのホルムアルデヒド(その1)
- 室内環境汚染物質としてのホルムアルデヒド(その2)―ホルムアルデヒドの測定法(1)― : ―ホルムアルデヒドの測定法(1)―
- パーミエーションチューブ法による低濃度スチレン校正蒸気連続発生方法の確立
- High performance liquid chromatography of formaldehyde in indoor air using miniature diffusion scrubber and 2,4-pentanedione
- 室内環境汚染物質としてのホルムアルデヒド(その4)室内環境内におけるホルムアルデヒドの挙動(ホルムアルデヒド濃度レベル及び分布)
- 2,4-ペンタンジオン含浸シリカゲル捕集剤を用いた室内空気中のホルムアルデヒドのアクティブサンプラーの開発
- 活性炭捕集/二硫化炭素抽出/GC-MS法を用いた室内空気中のスチレン定量法に関する一考察