都市部の壮年男性の網膜細動脈硬化の有所見率と関連因子の推移についての検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的:近年,高血圧・糖尿病の有病率の増加が指摘されている壮年男性における,眼底の網膜細動脈硬化の有所見率と関連因子の推移を検討した.方法:2001年度から2009年度に循環器健診を受診した40~69歳の男性(大阪の勤務者および住民)を受診期間毎にⅠ期(01~03年度:4,079人),Ⅱ期(04~06年度:3,253人),Ⅲ期(07~09年度:3,003人)に分け,網膜細動脈硬化の頻度および関連因子の平均値と頻度の推移を検討した.さらに網膜細動脈硬化の関連因子を多変量解析により検討した.結果:高血圧者の頻度は40,50,60歳代いずれの年齢層でも有意な変化はなかったが,降圧剤服薬者の年齢調整頻度はⅠ期からⅢ期にかけて有意に増加した.糖代謝異常の頻度はいずれの年齢層でもⅠ期からⅢ期にかけて有意に増加した.網膜細動脈硬化の頻度は40歳代ではⅠ期5%,Ⅱ期9%,Ⅲ期9%,50歳代ではⅠ期12%,Ⅱ期18%,Ⅲ期20%と有意に増加した.網膜細動脈硬化の関連要因はⅠ期,Ⅱ期,Ⅲ期のいずれの時期でも,年齢,血圧値,降圧剤服薬が有意に関連し,さらにⅢ期では糖代謝異常が有意の関連因子となった.結論:大阪の壮年男性において網膜細動脈硬化の有所見率が近年増加していることが明らかとなった.この背景として,降圧剤服薬者の頻度の増加や糖代謝異常者の頻度の増加が関連していると考えられた.
著者
-
北村 明彦
大阪府立健康科学センター
-
木山 昌彦
大阪府立健康科学センター
-
岡田 武夫
大阪府立健康科学センター
-
石川 善紀
大阪府立健康科学センター
-
岡田 睦美
大阪府立健康科学センター
-
宇野 充子
大阪府立健康科学センター
-
永野 英子
大阪府立健康科学センター
関連論文
- 27-338 疲労とメタボリックシンドロームとの関連についての疫学研究(社会医学系,一般演題(ポスター発表),近未来医療を担う心身医学,第1回日本心身医学5学会合同集会)
- メタボリックシンドローム構成因子に及ぼす肥満と生活習慣の影響についての縦断研究
- 心理的健康の維持・増進のための望ましい生活習慣についての疫学研究
- 冷え性における冷水負荷サーモグラフィと循環器検診成績、生活習慣との関連
- 靴下素材の違いが足指皮膚温に及ぼす効果
- 冷え性における冷水負荷サーモグラフィと循環器検診成績との関連
- 靴下素材が足皮膚温に及ぼす効果についてのサーモグラフィを用いた検討
- 不安,怒り,うつ症状と循環器系疾患と関連についての前向き疫学研究(不安とうつの心身医学)
- 足温浴が末梢皮膚温度、末梢血流、および唾液中コルチゾールの変動に及ぼす影響
- 脳卒中予防のための集団管理
- 脳卒中予防対策地域における脳卒中発生状況と重症度の推移に関する疫学的研究
- 4.ストレス対処行動と血圧値との関連についての疫学的研究(第32回 日本心身医学会近畿地方会 演題抄録)(学会報告[地方会抄録])
- 壮年期住民における脂質代謝異常と虚血性心疾患、脳卒中との関連についての長期追跡研究
- 虚血性心疾患、脳卒中の危険因子としての血漿尿酸値に関するコホート研究
- 安静時心電図上の期外収縮と脳卒中発症との関連についての前向き研究
- 都市部男性勤務者の32年間の身体所見の推移--1977-2008年の定期健康診断成績の検討
- 特定健診・特定保健指導の効果的な進め方
- ドック受診者における年齢と身体測定値による内臓脂肪面積の予測式
- 中年男子労働者のライフスタイルと免疫指標の関連性
- 都市部における脳卒中患者の退院時登録と地域ケアへの展開 : 退院時の生存状況・後遺症・日常生活動作能力等に関する調査研究
- 頸動脈硬化, メタボリックシンドロームと脳卒中発生との関連についての検討
- 地域ぐるみの減塩教育キャンペーンの実際とその評価 : 筑西市協和地区・脳卒中半減対策事業 メディアによる健康教育活動
- 脳卒中の発症に関する性差--心筋梗塞の場合との比較 (特集 脳卒中と向き合う--脳卒中における性差と予防・予後への影響)
- 期待効果--健康が守れるか (特定健診・特定保健指導)
- 眼底所見と高血圧との関連についての疫学的研究
- 大阪府八尾市における脳卒中の入院患者率と病型割合の推移
- 便の変異原性と便中金属量,喫煙習慣および食事摂取量との関連
- 地域住民男子における循環器疾患発症の動向とその背景要因 : 都市部と農村部における長期の疫学調査成績より
- 性別,年齢別コホート集団の加齢による食品摂取居頻度の変化に関する検討 : 14年を隔てて実施した質問紙調査比較
- 職域における近年のライフスタイルの変化およびその健康に対する影響に関する横断的研究
- 足温の血行動態改善効果についてのサーモグラフィを用いた検討 : 足温浴器とスチーム型足温器との比較検討試験
- 地域住民における虚血性心疾患有病率と高HDL血症、CETP欠損症の関連についての横断研究
- 中小企業が集中する都市部での脳卒中発生の実態把握と関連要因の検討
- 小児期からの健康的なライフスタイルの確立 : 成長に伴う検査値の変動と介入効果について
- 小児期からの健康的なライフスタイルの確立 : 特に肥満対策について
- 特発性心筋症(児)者卒後の実態
- 脂肪酸構成からみた栄養摂取と循環器疾患の関連に関する研究 : 虚血性心疾患の集団内症例対照研究(都市2報)
- 都市における脳卒中発症の実態把握と地域ケアへの展開
- 都市における脳卒中の発生状況と病型・リスクファクターについての疫学的検討
- メタボリックシンドロームの診断における適正な腹囲計測値の検討
- 地域住民における頸動脈硬化所見の出現状況とその関連要因に関する疫学的研究
- 地域ぐるみの減塩教育キャンペーンと24時間尿中ナトリウム,カリウム排泄量の推移
- 質問紙調査による基本健康診査の受診に関連する要因の検討 : 社会的ネットワーク得点を含めた分析
- わが国におけるくも膜下出血の危険因子に関するコホート研究
- 脳卒中の生命予後,機能予後に関する疫学的研究 : CT所見を中心とした分類を用いた検討
- 循環器疾患の発症要因としての血小板凝集能に関する疫学的研究 第3報 : 血清脂肪酸との関連
- 地域,職域におけるアルコール摂取状況の推移についての疫学的検討
- 地域,職域におけるアルコール摂取と身体所見との関連についての疫学的検討
- 脳卒中発症後5年間の生命・機能予後 : CT所見を用いた脳卒中の病型別検討
- 地域・職域における糖尿病の出現状況と高血圧・肥満との関連
- 循環器検診項目からみた発がん要因の検討
- 中高年女子のライフスタイルと免疫機能について
- 生活習慣の変化と健診所見の変化との関連についての疫学研究 : とくに身体活動を中心にして
- ライフスタイルおよびワークスタイルと循環器検診成績との関連について
- 企業勤務者を対象にした肥満解消プログラムの効果
- 健康診査受診と循環器疾患発症に関する研究
- 職業別にみた血圧値, 及びその関連要因の推移 : 長期的な循環器疾患予防対策を実施している地域での検討
- 都市における脳卒中の発症把握とその重要性
- 生活環境の異なる地域における骨粗鬆症予防検診の結果 : 第2報
- 循環器疾患の危険因子と前期高齢者(65-74歳)の生命予後・機能予後の関連についての研究
- 地域住民の循環器検診受診状況と健康意識に関する研究
- 心形態の推移と検診成績との関連 : 大阪と秋田における長期観察成績
- 生活環境の異なる地域における骨粗鬆症予防検診の結果について
- 禁煙に伴う循環器危険因子の変化の評価 : 都市勤務者の追跡調査成績より
- 秋田・大阪・高知・茨城研究 (あゆみ 世界に誇る日本のコホート研究) -- (循環器疾患をおもなエンドポイントとした研究)
- 情報技術の進歩と健診への応用
- 可溶性,不溶性の食物繊維の摂取が血清総コレステロ-ル値に与える影響についての基礎的研究
- 禁煙に関係する各種因子の検討
- 老人保健事業における機能訓練事業参加者の実態と日常生活自立度に関する研究
- 身体活動が循環器疾患の発症および検診成績に及ぼす影響に関する追跡研究
- わが国における循環器疾患とアルコール摂取との関連
- 事例報告 循環器疾患のハイリスク者に対する頸部エコー検査と保健指導の実施と評価--都市部の一事業所における検討
- 成人における自律神経系機能とストレスとの関連
- 循環器疾患発症に及ぼす飲酒の影響と節酒指導の効果
- 肥満を含む循環器リスクファクターの重積と脳卒中発症リスクの検討 : 日本動脈硬化縦断研究(JALS)0次統合研究
- 都市部の壮年男性の網膜細動脈硬化の有所見率と関連因子の推移についての検討
- 都市部男性勤務者の32年間の身体所見の推移 : 1977-2008年の定期健康診断成績の検討
- 勤労者健康管理における頚動脈超音波検査の有用性
- 都市部の壮年男性の網膜細動脈硬化の有所見率と関連因子の推移についての検討