小・中学生における社会不安障害の認知行動モデルの構築とサブタイプの検討
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概要
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社会不安障害(SAD)の児童・青年に対する認知行動療法の改善率は中程度であり,最近では,さまざまな治療技法がある。本研究の目的は,児童青年期のSADに対する認知行動モデルの構築と妥当性の検討,そして,否定的な信念,不安,回避行動,身体症状を含む社会不安のサブタイプについて検討することであった。対象者は,1,595 名(9~15歳)の小学生(<I>n</I>=826)と中学生(<I>n</I>=769)であった。その結果,成人期と同様に,否定的な信念は状況への不安を引き起こし,高まった不安は回避行動や身体症状を引き起こすことがわかった(GFI=0.93, CFI=0.95, RMSEA=0.05)。さらに,児童期よりも青年期のほうが,否定的な信念は不安により強い影響を及ぼし,不安は身体症状により強い影響を及ぼすことがわかった。クラスター分析の結果,「不安・回避優位型」「症状混合型」「社会不安低型」「不安・身体優位型」の4つのクラスターが抽出された。小学生の多くは不安・回避型と不安・身体優位型に属し,中学生の多くは症状混合型に属していた。最後に,各サブタイプに対する支援方法について考察した。
著者
-
岡島 義
財団法人神経研究所附属睡眠センター
-
福原 佑佳子
医療法人社団五稜会病院
-
岡島 純子
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
-
金井 嘉宏
東北学院大学教養学部
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岡島 義
財団法人神経研究所附属睡眠学センター・東京医科大学睡眠学講座
-
岡島 義
財団法人神経研究所・東京医科大学
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