インフルエンザ(H1N1) 2009流行期間中の施設内感染対策
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概要
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2009年のインフルエンザパンデミックでは,当初感染性・病原性が不明確な中,各医療機関では国の施策をふまえさまざまな感染対策が講じられたが,それらを比較・検討するため本調査を計画した.米国疾病予防管理センター(CDC)より公表された医療機関におけるパンデミック(H1N1) 2009の感染対策に関する暫定ガイドラインを参考にアンケートを作成し,平成22年度厚生労働科学研究費補助金による新興・再興感染症研究事業 新型インフルエンザ等の院内感染制御に関する研究会に所属する施設に対し調査を行った.25施設中17施設より回答が得られ,病床平均は610床(0~1300床)で,ほぼ全て(88%)の施設でインフルエンザ対応の専門部署の設置や情報提供,サーベイランスなどの対策がとられていた.トリアージによる患者の動線分離(82%)や患者に対するマスク着用(94%)もよく実践されていたが,施設毎に実施期間のばらつきがみられた.個人防護具の使用も同様に内容や期間にばらつきがみられたが,サージカルマスクは一貫して用いられていた.全体的にはパンデミック(H1N1) 2009流行初期は厳密な感染対策を採用し,感染性・病原性が明らかになるにつれ季節性インフルエンザに準じた対策に変化する様子がうかがえた.特に各施設が実際に患者を経験した後に現実的な対応に移行したと考えられた.今後の施設内感染対策を考えるうえで,対策の妥当性や効果,情報共有などの問題について継続して検討すべきと考えられた.
著者
-
藤倉 雄二
防衛医科大学校内科学2(感染症・呼吸器)
-
切替 照雄
国立国際医療研究センター研究所感染症制御研究部
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川名 明彦
防衛医科大学校内科学2(感染症・呼吸器)
-
切替 照雄
国立国際医療センター
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藤倉 雄二
防衛医科大学校内科学講座2(感染症・呼吸器)
-
川名 明彦
防衛医科大学校内科 (感染症・呼吸器)
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