臭いセンサーを活用した室内空気質(Indoor Air Quality; IAQ)の簡易計測法

概要

論文の詳細を見る
日本人は, 1日の約80%を住宅やオフィスビル等で過ごしており, 現在のような断熱・気密化された住宅で, 適切な換気がされない場合, 建材・開放型の暖房機器等から発生する有害化学物質の濃縮, また室内湿度の上昇, 結露等の問題が生じ, ダニ・カビ・ハウスダスト等の, 室内生物汚染粒子(アレルゲン)の増加が顕著となる。これら由来のアレルギー疾患や有害化学物質による化学物質過敏症も年々増加する傾向にあるという。<BR>化学物質過敏症の原因と考えられる, 住宅の内装材・家具等から発生するホルムアルデヒド(HCHO)や揮発性有機化合物(VOC)等の有害化学物質の居住空間での存在濃度は低い。そのため, 濃度測定のためには, 対象空気のサンプリング時に濃縮したり, ガスクロマトグラフ(GC)等の精密分析機器による測定が必要になってくる。しかし, これらの操作は非常に煩雑且つ専門的であるため, 現場サイドの簡易な測定法の開発が望まれている。そこで本研究では, 半導体センサーを利用した「臭いセンサー」の適用を検討し, 室内の低濃度のHCHO, VOCを迅速かつ時系列に測定・評価できる3種の臭いセンサーを選出した。これら3種の臭いセンサーを使用し, 現場計測, ラボにおけるチェンバー試験にて, 種々のHCHO・VOC濃度で測定し, GC, ガスクロマトグラフ-マススペクトロメトリー, 液体クロマトグラフ等の機器分析と比較し, その特性を評価した。概して, 両者の相関の結果は善く, 機器分析の補完システムとして有用であることが示された。<BR>また, 臭いセンサーの干渉物質として考えられる湿気や化学物質等の影響を, 種々の条件で調査し, その特性を把握した。本研究の成果は, 居住空間におけるHCHO・VOC対策の必須技術であると考えられる。

臭いセンサーを活用した室内空気質(Indoor Air Quality; IAQ)の簡易計測法

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク