放射線治療を選択した子宮原発悪性リンパ腫瘍の1例
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概要
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子宮の悪性腫瘍のなかでもまれな子宮原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は88歳女性で,顔面神経麻痺および下腹部膨満感のため,当院を受診した.血液検査で腎後性腎不全とCT検査で水腎症および左梨状筋におよぶ骨盤内腫瘍を認め,当院耳鼻咽喉科にて顔面神経麻痺治療後,当科へ転科となった.内診では,子宮は不整で硬く手拳大に腫大しており,著しい可動制限を認めた.子宮腟部および腟壁に,明らかな病変は認めなかった.子宮頸部細胞診はclassIIであったが,子宮体部細胞診は少数の異型細胞を認めた.鼠径リンパ節生検にて,免疫染色でCD20陽性,CD3陰性のびまん性大細胞型B細胞の浸潤を認めた.MRIおよび臨床所見より,子宮原発の悪性リンパ腫(Ann Arbor staging IV期)と診断した.患者の年齢,PSを考慮して放射線治療を選択し,全骨盤照射(50Gy)を施行した.治療開始後22日目に腫瘍は著明に縮小し,腎機能および水腎症は改善した.治療開始後42日目に鼠径リンパ節摘出部から左側腹部にかけて転移巣を認めたが,放射線治療(40Gy)により消失した.約4ヵ月後,悪性リンパ腫の急性増悪による発熱,疼痛と食欲不振のため再入院し,入院7日目に永眠された.本邦での子宮原発悪性リンパ腫は,1990年から2009年の20年間に25例の報告があり,発生部位,年齢,主訴,検査所見,治療等に関して検討した.〔産婦の進歩64(1):23-31,2012(平成24年2月)〕
著者
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加藤 宗寛
市立伊丹病院産婦人科
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八木 美佐子
市立伊丹病院産婦人科
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浅田 昌宏
市立伊丹病院
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安井 悠里
市立伊丹病院産婦人科
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浅田 昌宏
市立伊丹病院産婦人科
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江原 千秋
市立伊丹病院産婦人科
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冨家 真理
市立伊丹病院産婦人科
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