未治療結核の母親に生まれ,periportalhypodensityと血清高IgMを伴う無症状新生児への対応
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概要
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〔目的〕未治療結核の母親に生まれた無症状新生児において,periportalhypodensityの有無と血清IgM値を治療方針決定に役立てることを試みた。〔対象と方法〕対象は1996年から2002年に未治療結核の母親から生まれた8名の無症状新生児とした。これらの児において,periportalhypodensityの有無と血清IgM値を考慮して決められた治療の結果を検討した。〔結果〕結核菌は8名全員の胃液,髄液から検出されなかった。8名中3名(38%)においてperiportalhypodensityが認められ,同時に血清IgM値が高い傾向を示した。9〜l2カ月間のイソニアジド・リファンピシンと最初の2カ月間のストレプトマイシンを中心とした抗結核薬が投与され,2年間の観察期間中に結核発病を認めなかった。〔考察〕著者は,非特異的であるが,先天性結核患児CT画像においてperiportalhypodensityを認めることを以前に報告した。今回の結果は過剰診断,過剰治療の倫理的批判は免れないものの,先天性結核発病児と同様にperiportalhypodenSityと血清高IgMを認めて結核発病の危険性がある無症状新生児に対する9〜l2カ月間の抗結核薬投与は発病を阻止しうる可能性を示唆する。
著者
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西村 玄
東京都立清瀬小児病院 診療放射線科
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西村 玄
岐阜大学 大学院医学系研究科小児病態学
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西村 玄
都立清瀬小児病院放射線科
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近藤 信哉
多摩北部医療センター小児科
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伊藤 真樹
多摩北部医療センター小児科呼吸器科
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西村 玄
多摩北部医療センター小児科放射線科
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近藤 信哉
多摩北部医療センター小児科, 都立清瀬小児病院
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