大黄の品質と信州大黄の栽培
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概要
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歴代本草書に記されている漢薬大黄の効能, 効果は極めて多岐にわたっている。近時, 化学的, 生物学的研究の発展と相まって, 大黄のこれらの効果が科学的に解明されつつあることは極めて有意義なことであり, 本分野の研究がさらに発展することを期待する。他方, 現在繁用される大黄処方剤には便秘ならびに便秘に伴う諸症状の改善を期待するものが多い。大黄の緩下作用に関する研究は成分, 作用の面からかなりの進展が見られ, これらの応用によって品質評価も可能になった。輸入に依存する大黄にはその品質を含めいろいろの問題点が存在するが, 漢薬資源確保の一手段として国内での栽培が考えられる。武田薬品研究所では数10年の年月を費し, 栽培研究を続けその完成を見, 生産栽培の域に到達した。信州大黄と呼ばれるものがそれである。本報では基礎研究から生産栽培に至る経過の概要を記し, 大黄を一例としてこの種漢薬確保のための研究, 栽培の一端とその意義について述べる。
- 社団法人 日本東洋医学会の論文