PCR法による細菌リボソームRNA遺伝子を指標とした病原細菌の検出・同定の試み
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概要
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16Sおよび23SリボソームRNA遺伝子の塩基配列の中で菌種を越えて保存されている領域をプライマーに利用してPCR法による病原細菌の検出・同定を試みた。リボソームRNA遺伝子構造の中から9種類のプライマーを合成し,その組み合わせによるプライマーセットを用いて当該遺伝子領域をPCR法により増幅すると,2組のプライマーセットでは,Mycoplasma属からMycobacterium属まで広範囲の菌種の検出が可能であり,1組のプライマーセットではMycoplasma属を除いた広範囲の菌種の検出が可能であった。PCR法による検出感度は,E. coliの場合で2×102CFUであった。このPCRによる増幅産物を制限酵素Hae-III, Hha-I, Mbo-I, Msp-I, Rsa-IおよびTaq-Iにより切断し,菌株および菌種の鑑別を試みた。同一種異菌株による切断パターンの差は,E. coliおよびS. aureusでは認められなかった。菌種による差を検討した結果,それぞれの制限酵素で特徴あるパターンを示した。そのなかで,E. coliおよびShigella属4菌種(S. sonnet, S. boydii, S. dysenteriae, S. flexneri)の鑑別は,ここで使用した菌株についてはHae-IIIおよびHha-Iによる切断パターンの比較で鑑別が可能であった。
- 日本細菌学会の論文
著者
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林 英生
筑波大学基礎医学系
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岩村 幸雄
筑波大学基礎医学系微生物
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清水 徹
筑波大学基礎医学系
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澤田 直登
筑波大学基礎医学系微生物学
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岩村 幸雄
筑波大学基礎医学系微生物学
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林 英生
筑波大学基礎医学系微生物学
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