Bacterionema matruchotiiの宿主免疫機能に及ぼす影響 : 1. 網内系機能,特に貪食能および殺菌能に及ぼす影響について
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概要
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口腔内細菌Bacterionema matruchotiiの菌体をマウスの腹腔内に投与し,その網内系機能におよぼす影響をカーボンクリアランス法と殺菌試験により検討し,次のような成績をえた。1) B. matruchotii L2, #13, ATCC 14266,の3株を1mg,マウスに投与し,48時間後の網内系貪食能の亢進の程度を比較すると,L2>#13>ATCC14266の順で貪食能の亢進が認められた。2) L2株を5∼2000μg投与し,その48時間後における網内系貪食能亢進を調べると,125∼2000μg投与した群には明らかに貪食能の亢進が認められた。その際投与量が多い程効果が著しい傾向が見られた。3) L2株1,000μgを投与し,投与後の貪食能の変化を経時的に調べると,2日後と7日後の貪食能が特に亢進し,そこには2相性の貪食能の亢進のあることが認められた。4) 加熱死菌投与でも生菌同様に貪食能の亢進をおこすことができた。5) B. matruchotii投与によつて貪食能の亢進が認められるマウスはSalmonella typhimurium LT2株の感染に対しても殺菌性が亢進していた。さらにそれらのマウスから腹腔マクロファージを集め,in vitroでLT2株を感染させ,その殺菌性を検討したところ,B. matruchotiiの前投与を受けたマウスのマクロファージは対照に比べin vitroでのLT2の増殖を抑制した。以上の成績は,あらかじめB. matruchotiiを投与されたマウスマクロファージの貪食能が高まり,さらにマクロファージの殺菌性も亢進していることを示唆している。
著者
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中野 昌康
自治医科大学微生物学
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新田 敏正
奥羽大学歯学部口腔細菌学教室
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新田 敏正
東北歯科大学口腔細菌学講座
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奥村 晴一
東北歯科大学口腔細菌学講座
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新田 敏正
東北歯科大学口腔細菌学教室
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中野 昌康
自治医科大学医学部微生物学教室
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奥村 晴一
東北歯科大学口腔細菌学教室
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