舶用燃料油に関する国際的動向と我が国の対応
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概要
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昭和47年に始まったいわゆる石油異変を契機として, 船舶はその運航の経済上, 安価な低質燃料油の使用が必至となり, しかも燃料油の方は石油全般の需要の動向と資源の有効利用を重視する関係で次第に低質化する.これに対処すべく国際的に, 低質油を舶用機関に適用する場合の問題点の研究と同時に石油規格作成の動きが起こった.すなわち, 石油供給者, 使用者, 機関と船内装置の製造者の間で共通の認識の下に正確な相互連絡を行うために舶用燃料油の規格を制定することがぜひ必要ということで, BSI (英国規格協会) , CIMAC (国際燃焼機関会議) , ISO (国際標準機構) などが昭和54年以来その制定に向って活発に動いた.<BR>日本としては, CIMACの窓口である日本内燃機関連合会を通じてこの問題に対処したが, 実際上の検討は日本舶用機関学会内で行われた.それは本学会内には, 石油供給者, 使用者, 機関と船内装置の供給者及び造船所の機関計画者など問題の関係者がすべて含まれているのでこの問題の検討に最も適切な人員構成が得られるためであった.学会内形態としては, 大形ディーゼル機関研究委員会の中に, 将来燃料 (CIMAC) 研究小委員会が設けられた.メンバーとしては, 大形ディーゼル研究委員会の他に関連の深い研究委員会, 部会からそれぞれ適当数の委員が選出された.海外の会議に対応してこの会合を開き討議の結果を取りまとめた.これらの結論は日本意見としてすべて日本内燃機関連合会を通じ, CIMACを介しまたは直接BSI及びISOにおける舶用燃料油規格作成に反映された.また, CIMACのW.G.の最近の動きであるCIMAC基準の作成にも大きい役割を果した.<BR>なお, 運輸省においては, 昭和54年から舶用低質燃料油対策会議が持たれ, 各界の関係団体から委員を招集して問題点の抽出, 対策の討議が行われた.筆者も委員として出席し日本舶用機関学会における上記関係事項と海外の状況についてこの会議に報告した.ISO規格作成の国際会議にも運輸省の配慮でオランダ, ジエトロ駐在官が日本代表として出席して日本提案を主張して戴いたことが2回もあった程であることをここに申添えたい.<BR>さらに, 昭和58年から舶用燃料油に関連して別個にVVG. (Working Group) Heavy Fuelの作業委員会も発足して重質油全般の問題を取りあげ討議中であるが, これに対しても本学会内の上記小委員会が活躍しており, それは昭和61年まで続けられる予定である.<BR>以下, 従来の経過の状況を述べ, さらに最近の重要事項の実状と今後の見透しについて報告したい.
- 社団法人 日本マリンエンジニアリング学会の論文
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